Cream de Cream
(本文p12〜13、p28〜29より)

「んぅっ……」
 ベルトを抜かれ下着ごとズボンを半ばまで下ろされ、直接握りこまれた。直接与えられる刺激の強さに堪え切れるわけなんてない。与えられる熱から逃げるようにして身をよじってみるけれども、中途半端な位置にあるズボンが邪魔だった。どうしようかと思ったのはほんの一瞬で、古泉の手が離れたその隙に、俺は自分からズボンと下着を脱ぎ切った。
「……なんだよ?」
 思わず目が有ったら、どういうわけか古泉はきょとんと目を丸くしていた。俺が自分から脱いで何が悪い。
「いえ、何でも有りませんよ」
 声を立てて笑った後に浮かぶのは、悪戯好きの子供みたいな微笑み。こうして見ていると結構幼い顔立ちだ。今の俺に古泉の容姿の仔細を追っていくような余裕はないんだけどさ。
 剥きだしになった太ももの内側をするりと撫であげられ、背中がぞくぞくと震える。自分だけが感じているのが嫌で古泉の股間に手を伸ばし、こちらも服の上から触れてみる。固くなった部分を、手のひら全体で包み込むようにしてからゆっくりと手を上下させた。
「んっ……」
 古泉が息を呑み、手の動きが緩む。僅かな合間を見計らってベルトのバックルに手をかけようとしたけれども、その手はあっさりと阻まれた。くそっ、この程度じゃ気を逸らすことも出来ないのかよ。けど、何でそんなことをする必要が有るんだ? 別に良いじゃないか、俺が脱がせたってさ。と思っていたら、古泉は器用に片手だけで俺の動きを制し足の間に割り込んで来るような体勢になると、もう片方の手でジャケットのポケットから小さな小瓶を取り出した。
「……おい」
 見間違えるはずはない、それは性交渉の時に使う潤滑材、所謂ローションだった。古泉がこれを持っていることは良いとしよう、奴の家に有るものだからな。けど、なんでこれをわざわざ持ち歩いているんだよ。百歩譲って持ち歩いていることまでは良いとしても、どうしてこれがジャケットから出て来る。せめてカバンの中に入れておけ。まかり間違ってこんなものがジャケットから滑り落ちたらお前はその瞬間に変質者確定だぞ。
「家に入る時に、もしやと思ってカバンからジャケットのポケットに移しておいたんですよ」
 そんな備えは要らん。




 テーブルの脚に背中を預ける形で上半身だけを起こしている俺の目の前には、その眼に怪しい光をたたえた膝立ち状態の古泉が居た。手には、生クリームの入ったボウル。
 古泉はボウルの中に手を突っ込むと、掬いあげた生クリームを何も身につけていない俺の股間へと塗り付けた。
 信じらんねえ。
 そりゃ、展開的にそう来るんじゃないかと薄々思ってはいたさ。でも、まさか本当にそうされるとは思いたくなかった。だって生クリームだぞ生クリーム。そんな物が自分の股間に乗っている所なんて想像出来るかよ。
「な、バカっ」
 局部にローションを垂らされたことはあるが、生クリームなんて初めてだ。ローションとは違う、ぬめりは有る物のどこかふわふわとした感触。たらされた場所から流れ落ちていかず固体のまま少しずつ形が崩れていく辺りが何とも言えない。
 古泉はその白いクリームの中に手を差し入れると、まだ半勃ち状態という俺の物を扱き始めた。さっき散々弄られたはずなのに何でまだそんなかって? そりゃ、この想定外過ぎる状況のせいで身体が緊張を示しているからだろうな。とはいえ身体が強張っているいるはずなのにある程度とはいえ既に反応を示しているという辺りが終わっている気もするんだが。終わりも何も、ここから先は終着どころか底辺以下へ駆け抜けていくようなものかも知れないな。
 男子高校生同士、快楽に弱かったり性的な行為に対して性急なところが有ったりするのはもう仕方のないことのような気がするんだが、生クリームって。
「んっ……」
 古泉の妙に手慣れた手つきは何時も通りのものだが、何時も通りだからと言って慣れていると言えるようなものじゃないし、何時もと違う生クリームの感触が何とも言い難い。気持ち悪いというわけじゃないんだが、何だろうな、このくすぐったいようなむず痒いような微妙さは。直接触られているはずなのに、何かが違う。感触が違うせいもあるだろうが、食べ物を性的な行為に用いているという背徳感のせいも有るのだろう。
「うぅ……、あ、やぁ、くふっ……」
 生クリームの中で埋もれながらも固くなってきた性器を、直接口に含まれた。
 前々から口でされる時のビジュアル効果ってのは凄いものだなと思っていたが、自分の股間が生クリームまみれでその生クリームの中に古泉が顔を埋めているという状況は――何か、もう、恥ずかしいとかいうのを通り越して、この熱さの中に埋もれていってもしまっても良いかと思えるくらいの吸引力が有った。